2人のユウト




 ある日のことだった。


 いつも通り仲間が怒られ、罰掃除を受けているため、俺は1人で家へ向かっていた。


 モモと住んでいた家は、現在ない。


 モモの死の直後、老朽化のため壊されたのだ。



 そのため俺は今、子どもの頃過ごした家で暮らしている。


 父さんと派手女の仲が最近悪いらしく、あんまり帰ることはないし、姉貴も仕事が忙しく、仕事場の近くにあるホテルに泊まることが多いから。



 俺は子どもの頃の嫌な過去に戻っている状態だった。


 でも、餓鬼の頃と比べ、同じ気持ちにはならない。


 むしろ、誰かといた方が餓鬼の頃の気持ちがよみがえる。


 モモを失い、俺の中で少しずつ、何かが変わっていた。




 モモ、今なにしてる?


 俺、今モモに会いたいよ。


 思い切り抱きしめて、激しい深いキスをしたいよ。



 モモ・・・。



「・・・おい。神川リュウだな?」


 突然俺は、知らない不良共に絡まれた。


 言っとくけど俺、喧嘩強いよ?


 モモに初めて出会った日に、モモに助けられたのが悔しくて。


 俺はモモに喧嘩を習ったから。



 モモは繁華街で1位2位の実力を持つ、喧嘩の強さだから。


 俺はすぐに喧嘩が強くなった。





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