2人のユウト
「だってさ、自分勝手なお姉さんのせいで貴重な時間を奪われてさ。
僕が弟くんの立場なら、お姉さんの言うことなんて聞かずに遊びに行っちゃいそうだよ。
それなのに弟くんは文句ひとつ言わずにお姉さんの言うこと聞いて。
凄く良い子だね。
それとも、お姉さんに弱みでも握られているのかな?
だから文句なんて言えないのかな?
弟くん、可哀想だねー」
自分でも、冷たい言い方だと思う。
あの、繁華街で愛を囁いていた人物は、この世にいない。
モモと出会った時点で消えたんだ。
モモと会ってから、名前はそのまま神川リュウだったけど、中身は完全な峯長勇都だったから。
「リュウくん・・・?」
「ひどい・・・そんな言い方、ないよ!」
マキとアヤは、目に涙を浮かべながら行ってしまった。
「おい!何姉貴に言ってんだよ!
追っかけて謝罪しろよ!」
「はぁ?
何で俺が謝罪なんてしないといけねぇんだよ。
俺はただ、思ったことを言っただけだ。
あいつらは勝手に泣いたんだ。
それとも、謝罪してほしい?
どうして俺に会せたってお姉さんに責められるのが怖いから」
「「!?」」
俺が言った途端、不良たちの表情が変わった。
図星だな。
「何?マキとアヤさ、怒ると怖ぇの?」