2人のユウト




☆優斗side☆



 舞原財閥を本来継ぐのは、僕だった。


 だから僕は生まれた時から、美夏と一緒に勉強した。


 学校は幼稚園から大学までエスカレーター式で行ける、名門のお金持ち学園へ入学した。


 周りの子も、財閥などの跡取りだけだったので、友達なんて作らず、全ての時間を勉強時間に費やした。





 僕が8歳の時。


 美夏が、IQ200に達した。



 両親もIQ200だったため、凄く喜んでいた。


 美夏は天才と名を高めた。


 一方僕はIQが170で止まったまま。


 僕は毎日、両親に「美夏のようになれ」と言われ続けた。


 僕はより一層、勉強に時間を費やした。


 しかし、IQは上がらなかった。


 美夏は僕よりも積極的で、両親の目を盗んで遊びに出かけることが好きで、よく勝手に出て行くなと叱られていた。


 そんな美夏に、僕は負けることが悔しかった。


 両親から優しい言葉をもらうのも、美夏だけ。


 僕が両親から言われるのは、責める言葉だけ。


 美夏と比べられる時だけ、僕は両親と会話した。




 中学を卒業式の日。


 その日は、決して忘れられない日になった。





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