2人のユウト




 僕は担任から、トップで高校に入学できると教えてもらった。


 校長から特別に賞状をもらい、僕は上機嫌だった。


 これを両親に見せれば、きっと美夏のように褒めてもらえる。


 そう信じていたんだ。




 両親はリビングに揃っていた。


 美夏は靴はあるけど、リビングにはいないので、自分の部屋にいるのだろう。



「お父様!お母様!話があるんですけど!」


「丁度良い優斗。話がある。座りなさい」


「どうしたんですか?お父様」


「ようやく決めたんだ。
お前を、養子に出すことを」



 ・・・え?



「どういう意味ですか・・・?」



「優斗、お前はいつまでたってもIQ200に達しないじゃないか。
わたしも母親も待つのには飽きた。
だから、美夏に財閥を任せようと思うんだ」



「ぼ、僕は・・・?」



「お前はわたしの友人である高広のもとへ行ってもらう。
高広は結婚しているが、子どもがいない。
是非子どもが欲しいと言っていたのでな。

役に立たないお前を100万で売ると言ったら、ノッてくれたぞ」



 僕は、100万で売られたんだ、と理解した。






< 272 / 368 >

この作品をシェア

pagetop