2人のユウト




 僕はふらふらと美夏の部屋へ向かった。


 その目に涙が溜まっていたことを、僕は知らない。



「あ、お兄ちゃん。卒業おめでとう」


「・・・ドウシテ?」


「え?」



「ドウシテ美夏ばかり?
ドウシテ美夏ばかりなんだ?
ドウシテ・・・?」



「お兄ちゃん?」



 僕は美夏に初めて手をあげた。


 パンッと乾いた音がする。



「お兄ちゃん・・・?」


「ドウシテ美夏ばかりなんだ!
ドウシテ僕はっ・・・!!」



「お兄ちゃん!?どうしたの?」



 僕はそっと、美夏の首に手をかけた。


 ゆっくり、力をこめる。



「・・・お・・・お兄ちゃ・・・・ん・・・・」



「ドウシテ・・・ドウシテ・・・!?」



 音も立てずに流れる涙を拭うこともせず、僕は力を強めた。






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