2人のユウト




 ダサい恰好を始めると、お義父さんはますます僕をストレス発散の道具として使った。


 狂った人形のように笑いながら、お義父さんは僕を殴ったり蹴ったり、切ったりした。



 お義父さんは、人を傷つけることで快感を得たり、ストレスを発散する人だったんだ。



 気が付いた時には、もう遅い。


 手遅れだ。



 僕はもう、自分の感情を失った、人形のような存在と化しているのだから。







 お義父さんのいる高校に入学した。


 幼少期からコミュニケーション能力に欠けていた、ロボットのような僕に、友達は出来なかった。



 理事長の息子だと知ると、教師の僕を見る目が変わった。



 僕が宿題や提出物を出さなくても、叱らなかった。



 僕が何をしても、何も言われなかった。



 そんなことを続けていれば、僕を憎む人が増える。



 僕は運悪く同じクラスの不良に目をつけられた。


 そして、突然いじめが始まった。




 僕は何をされても、決してお義父さんに言わなかった。


 言おうとも思わなかった。






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