2人のユウト
☆幸菜side☆
話し終えた水門くんは、ふっと微笑んだ。
「・・・何泣いているんですか?」
そう、私は泣いていた。
辛くて痛くて、涙がとまらない。
「本当、日下さんは優しいですね。
こんな僕のことを聞いて泣くなんて。
その涙、勿体ないですよ?」
「・・・も、勿体なく、ないよ・・・」
水門くんのために泣けるんだもの。
「すっかり遅くなりましたね。
家まで送りますよ」
立ち上がった水門くんは、自然に私の鞄も持つ。
「水門くんだけ、苦しむ必要はないよっ!」
話を聞いて、気になったんだ。
どうしてそんなに彼は1人で苦しむのか。
その理由、ようやく解けたよ。
水門くんが、誰よりも優しいからだよ・・・。