2人のユウト

サヨナラは、笑顔で。






 ・・・時がたつのは、本当に早いと思う。








「さようなら」



 担任の声が終わる前に、私は教室を飛び出した。



「幸菜!?」



 驚いた勇都くんの声も、無視して、私は学校を出る。







 校門を出ると、体力のない私は立ち止まった。


 教室からの全力疾走は、さすがに疲れます。




「・・・どうしたんですか日下さん」



 聞き覚えのある優しい声がして、顔を上げる。



「水門くん・・・」



「息、凄く上がってますよ?
・・・これ、いりますか?」



 水門くんから差し出されたのは、自動販売機で売っている、小さな水のペットボトル。



「良いの?もらっても」


「はい。まだ僕飲んでいないので、安心してください」



 いたずらっ子みたいな笑顔を見て、私は遠慮なくペットボトルの蓋を開ける。






< 288 / 368 >

この作品をシェア

pagetop