2人のユウト
サヨナラは、笑顔で。
・・・時がたつのは、本当に早いと思う。
「さようなら」
担任の声が終わる前に、私は教室を飛び出した。
「幸菜!?」
驚いた勇都くんの声も、無視して、私は学校を出る。
校門を出ると、体力のない私は立ち止まった。
教室からの全力疾走は、さすがに疲れます。
「・・・どうしたんですか日下さん」
聞き覚えのある優しい声がして、顔を上げる。
「水門くん・・・」
「息、凄く上がってますよ?
・・・これ、いりますか?」
水門くんから差し出されたのは、自動販売機で売っている、小さな水のペットボトル。
「良いの?もらっても」
「はい。まだ僕飲んでいないので、安心してください」
いたずらっ子みたいな笑顔を見て、私は遠慮なくペットボトルの蓋を開ける。