2人のユウト




 今日、美夏は5時の飛行機でアメリカに旅立つ。


 今から空港に行けば、間に合うだろう。



「どうして?
一緒に行こうよ」


「この間話したでしょう?
僕が美夏にどれだけひどいこと言ったのか。

美夏は気にしていないでしょうが、彼女の両親は気にしています」



 ・・・彼女の両親?







 もしや。







「水門くんって、美夏に会いたくないわけじゃないんだね」


「へ?
日下さん、今僕の話聞いていましたか?」



「聞いてたよ、勿論。
だから思ったの。
水門くんは、美夏に会いたくないわけじゃない。

美夏の両親に会いたくないんだね」



「・・・!?」



 明らかに、水門くんの表情が変わる。



「だって、美夏は一切気にしていないんだもん。
水門くんが美夏を気にして会わないって言うのは嘘。
・・・優しい水門くんだから、完全に気にしていないわけではない。

水門くんが気にしているのは、美夏の両親の反応なんだよ。
・・・ううん、美夏の両親じゃない。

実の両親の反応なんだよ」





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