2人のユウト
私はまっすぐ、水門くんを見つめる。
水門くんは、観念したように、そっと溜息を吐いた。
「まさかそこまでバレていたとは思いませんでしたね。
あなたの洞察力には負けますよ」
「え?じゃあっ・・・」
「確かに僕が気にしているのは、両親の反応です。
僕が今のような状態になったのは、両親のせいですから。
美夏は何も悪くありません。
むしろ、彼女は巻き込まれた身です。
両親は、美夏を大事に思っています。
椎葉さんを美夏の執事にしたのも、美夏が誰よりも大切だから。
椎葉さんは、優秀ですからね。
椎葉さんは、美夏にも忠実ですが、両親にはもっと忠実です。
美夏の周りで起こったこと、全て両親には報告します。
だから美夏には友達がいなかったんです。
両親は共にIQ200に達しています。
真面目すぎる両親は、周りの目を気にして、将来財閥のためになる友達を選んでほしいと思っています。
そんなこと、アウトドアタイプの美夏が聞くはずありません。
彼女は思い立ったら突っ走るタイプですから。
この間、椎葉さんから電話が来たのです。
もう、美夏に会わないでほしい、と。
美夏の友達である、日下さん、あなたにも」
それはこの間言われたから覚えているけど。
まさか、実のお兄さんにまで言うなんて。
「両親は知っています。
僕がこの間、美夏と出会ったことを。
全て見ていた椎葉さんが、両親に伝えたのです。
椎葉さんは、両親が僕に言いたいことを伝えてくれました。
縁のない、水門の人間である僕と、美夏が兄妹ということが舞原の恥だ。
今後一切、日下さんと共に、会わないでほしい、と。
会ったら、水門の家を潰してやる、と」
水門の家まで!?
凄いんだな、美夏の家は。