2人のユウト
「だから、僕は行きません。
行くのなら、日下さん1人でどうぞ?」
にこっと、いつも通りの微笑みを私に向けた水門くんは、駅の方へ向かって行く。
「・・・駄目だよ、水門くん」
私は水門くんの腕をつかみ、走り出す。
向かう先は、勿論決まっている。
「日下さん!?」
「ごめんなさい、水門くん。
私、何度も水門くんに酷いことしているよね。
美夏のことも、勝手に会わせてごめんなさい。
今も、水門くんの意見を無視してごめんなさい。
でも、私わかったんだ!」
「な、何をですか!?」
「私がね、自分でも気が付かないほど、
我が儘ってことだよ!!」