2人のユウト
「ありがとうお兄ちゃん。
やっぱりお兄ちゃんはいつものお兄ちゃんだ。
何も変わってないね」
「僕はあの頃から、今の感じだからね」
「今の感じがお兄ちゃんなのよ。
変わらなくて良いの。
今のお兄ちゃんも昔のお兄ちゃんも、いつだってお兄ちゃんはあたしのお兄ちゃんだから」
「・・・美夏・・・・」
「あたしはアメリカで頑張るわ。
あたしにはあたしの人生があるの。
お父様とお母様に決められていない、あたしの人生が。
あたしは自分で、舞原を継ぐと決めたの。
でもね、時々落ち込むこともあると思うわ。
そういう時には、お兄ちゃんや幸菜にメールしたり、電話しても良いかしら?
お兄ちゃんも幸菜も、あたしの大切な人だから。
信じて、頼れる存在だから」
「・・・僕のこと、恨んでないの?」
「どうして恨む必要があるのよ。
変なお兄ちゃんね。
妹がお兄ちゃんを恨むわけないでしょう?」
美夏が笑うと、水門くんもつられたように笑った。
・・・この2人、やっぱり兄妹だ。
笑顔や優しさが、凄く似ているから。
例えどこにいても、離れていても、名字が変わってしまっても。
彼らは永遠に兄妹だ。
永遠が続くのかは、誰にもわからないけど。
この2人の仲は、永遠に変わらないって、思えるんだ。
不思議なものだなぁ・・・。