2人のユウト




 勇都くんの指が私の長い黒髪を梳く。


 うぅ・・・緊張するよぉ。


 足、めっちゃ震えているもん。





「数週間前に俺と幸菜が交わした約束、覚えているかな?」


「覚えていますっ・・・!」



「じゃあそんなに怯えないでよ。
俺が幸菜を脅しているみたいじゃん」



 脅している、と言うんじゃないの?あれは。



「勘違いしないでよ。
俺はただ、幸菜が何も言わなければ良いの。
何もしないよう、遼平とかにも言っているからさ」



「ゆ、勇都くんは、寺内遼平くんたちと、どんな関係なの・・・?」




「どういう関係?
それを幸菜が知って、何のメリットがあるの?」




 メリット?



 ・・・ないよ。



 ないよ!



 ないよ!!



 聞けないじゃん!



 おーまいがっと!





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