2人のユウト
「いや、嫌いじゃないよ。
むしろ、本は好きだし、よく行くよ」
「そうなんですか。
では、どうしたんですか?」
「え?だって・・・」
この学校には1号館にも2号館にも図書室がある。
確かに利用者は少ないから、勉強するには最適な場所だろう。
でも、1号館の図書室から水門くんの4組の教室は距離がある。
いくら学年で1番足が速くても、15分じゃ着かない。
「遠くない?水門くんの教室から」
「大丈夫ですよ。
僕、これでも校長の息子なんで、
教師たちは僕に何も言いません。
校長の息子を叱ったらクビにされると
思っている教師が多いですから」
そうなんだ・・・。
なんか凄いんだな。
「じゃあ、行きますか」
「うん」