2人のユウト
「では」と水門くんは笑顔で一礼したあと、2号館へ歩いて行った。
私も教室に戻る。
いつも通り、勇都くんの席の近くには目をハートマークにさせた女の子たちが騒いでいる。
「あ。ほらどきなよ。日下さん座れないよ」
「え?あぁ・・・日下さん。いたの?」
「いたんだ。影薄いから、気が付かなかったわー」
キャハハッと女の子たちの笑い声が響く。
「何言ってんだよ。日下さんはクラスメイトだろ。
仲良くしてやれよ」
「えー?何よ勇都。日下さんのこと守っちゃってさー」
「良い人ぶってんの?」
「良い人ぶってなんていない。
俺はただ、日下さんのことが好きだから。
男が好きな女を守るのは普通だろ」
・・・?
え?