2人のユウト
カチャカチャ・・・ガチャッ!
「よし、開いたぞ。来い」
「えっ?ちょっ!?」
手を強く引かれながら、私は段差を超える。
「うわぁ・・・」
春の暖かい風が吹き、綺麗な青空が頭上に広がる。
「初めて来たよ・・・屋上に」
「良いだろ?
俺が学校で1番落ち着く場所なんだ」
「うん。確かに落ち着く。
どうして屋上来ちゃ駄目なのかな?」
「転落事故とかあったら大変だからだろ。
屋上へ出入り自由にしたら、サボる奴も増えるだろうし」
「そうかぁ・・・。
でも自由に入れたらサボろうと思う気持ちわかるなぁ。
だってこんなに気持ち良いんだもん。
ずっといたくなるよ・・・」
「俺も今の幸菜と同じ気持ちでさ。
だからよくサボって先生に怒られてた。
まぁ俺の場合、頭は良いから、怒られていたのはサボり仲間だけど」
サボり仲間さん、可哀想・・・。