君との距離、2歩分。
「…や、嫌だ…」
小夏は顔を伏せたまま、うずくまって『嫌い』って言葉を呟きながら繰り返す。
嫌い、かよ…
普通に傷付くんだけど。
オレは小夏の髪をポンポンと優しく叩いた。
―…とりあえず今日は退散した方がいいと思う。
「…また明日、な?」
名残おしいけど、小夏の髪から指を離す。
柔らかい髪の感触。
オレの手には、消えずにまだはっきりと残ってる。
「…あ、いっこ補足。オレの好きな人、千波留ちゃんじゃないから。」
オレはそれだけ言って、重い足を無理矢理動かした。
小夏…
明日は泣かないで会ってくれる?
.