君との距離、2歩分。
キキッと耳を裂くような自転車のブレーキの音。
その音に、私と陽大くんが振り返ると―…そこには七世の姿が。
そんな七世の顔に浮かぶのは…怒り。
荒々しく自転車から降りて、私の腕を引く。
私に怒ってる理由を聞かせる暇もない程の早業だった。
「…そんな顔出来るんじゃん。」
七世の怒りを煽るような陽大くんの淡々とした態度。
「大丈夫だって。別にやましいことなんかしてねーもん♪ね、小夏ちゃん?」
「え…うん!」
「七世の競争心を煽っただけじゃんね。」
そう言って意地悪く笑う陽大くんを七世は冷ややかな目で見た。
何で怒ってんの!?
怒りたいのはこっちだっつーの…
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