君との距離、2歩分。



ゆっくりと目を開けると、やっぱりそこには――…



「…なな…せ?」



1番会いたかった人の姿。


「…お前さぁ……本当、こういうのやめろ。心臓に悪いから…」



そう言う七世の鼻は寒さのせいか真っ赤。


格好も私より薄着。


公園の入口には、投げたように倒れた七世の自転車があった。



「…何でくんの?」



七世の髪はボサボサで。


本当に急いで私を捜してたんだってことがよくわかる。



「…お前がいきなり電話切るからだろ!?こんなとこにいたら、誰に何されるか分かんねーじゃん!」



七世の汗に。


倒れた自転車に。


ボサボサの髪に。


その言葉に。



思わず泣いてしまいそうになる。



「―…小夏はオレがいないと生きていけねーだろうが。」



……うん。そうだよ。


七世に会えないうち気付されちゃったよ。



七世への気持ちのスケールや重さに、気付かないふりなんてもう出来ない。



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