君との距離、2歩分。
気付くと、私は七世の洋服の裾をギュッと握っていた。
「―…苦しかったの。」
やっと出てきた声は、小さなかすれた声。
「…………え?」
「七世といると苦しくて…でも嫌いとか、そんなんじゃなくて……っ…むしろ―…」
冷たい空気が私たちを包む。
白い吐息は暗い夜空に吸い込まれていって…
七世の体が、いつの間にか私の体を包み込んでいた。
「…七……世?…」
「オレだって苦しいよ。でも……小夏の傍にいること、やめられない。」
―…耳元でそう言った七世の肩越しに見た景色が、ものすごく綺麗だと思えた。
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