君との距離、2歩分。



赤くなった顔と止まらない動悸を落ち着かせてから、家族のいるリビングへ行く。


何事もなかったかのようにリビングのドアを開けた私に―…


「小夏っ!!」


「え、な……?」


母親がいきなり飛び付いて来た。


その勢いに押されて上手く喋れずに変な声しか出ない。


そんな私を置いて、お母さんの話は進んでいく。



「小夏、お願い!ちょっとそこのコンビニでいろいろ買って来てほしいの!」


「えー…寒いし…」


「大丈夫!買うものは少しだけだし、お釣りはあげるから。」


そう言って無理矢理、メモとお金を渡された。


「は!?意味わかんな…」


「行ってらっしゃーい。ありがとねー」


「ちょっ…お母さ…」


私の言葉が言い終わらないうちに閉められた玄関のドア。


……超強引。


私は半ば強制的にコンビニに行かされた。




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