君との距離、2歩分。



「…おい、飯だって!」


「………………………」


「何、何かあった?10秒以内に言わないと、毛布没収ね。」


そう言った七世のカウントダウンが始まる。



数が少なくなるにつれて、私の毛布に込める力はどんどん強くなっていく。


…絶対、毛布から出ないもんね。



「よーん…さーん…」


きっと今、毛布から出て七世の顔を見たら泣いちゃうよ。


「にー…いーち…」


七世を嫌いになれない自分のことも悔しい。


七世にこんなに惚れちゃってるのも悔しい。


とにかく、七世に対する自分の全てが悔しい。


「……ゼロ。」


そんな声で私のくるまった毛布に七世の手がかかる。


私も毛布の裾を本気で掴んで、絶対に離そうとしない。




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