君との距離、2歩分。



これはマジの勝負。


元サッカー部の中3対2歳年上の高校生の力比べ。



結果は―…やっぱりだけど七世の勝ち。


結構、粘ったけど毛布を無理矢理はがされてしまった。



「はい。オレの勝ち……って、お前…泣いた?」


私の顔を見た途端、七世の顔色が変わった。



…七世ってかなり鋭いよね。


こういうどうでもいいことには気付くけど、私の気持ちには何年経っても気付かない。



「…泣いてないよ…」


ほら、目頭が熱くなってきた。


七世のせいで、私の涙腺はボロボロになったんだよ。


七世のことになると、涙が出るように改造されちゃったの。


「―…うぅー……」


私の目からぽろぽろとこぼれ落ちる涙を前に、七世は少し焦った顔。



「…毛布はがしたことなら、ごめん。」


その言葉に、私は首を横に振る。


情けない表情の申し訳なさそうな七世が顔を上げた。


「…じゃあ、何で泣いてんの?」


私はもう1回、首を横に振る。




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