君との距離、2歩分。



オレは、ふーっとため息をつくと、サッカーボールを手に取った。



……イライラしてちゃだめだし。


少し自主練でもしてこよ。



そう決めたオレは、玄関に向かって靴を履く。



「あれ、七世?どっか行くの?」


そんなオレの後ろから、母親の声がする。


「んー…自主練。」


「そう。あ、荷物は送っといたからね。」


「…………分かった。」



母親の何気ない言葉に返事して、外に出た。




―…時間がない。


―…時間がない。



オレはその場に座り込む。


リズムよく、オレの手から滑り落ちたボールが転がっていった。




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