君との距離、2歩分。
隣で心配そうな表情の陽大がオレを覗き込んだ。
「七世、行けるか?」
「…おー…大丈夫だから、先に乗っとけ?」
「分かった…」
小さく頷いた陽大が先に電車へと乗り込んで行く。
周りの乗客も続々と車両の中へ消えて行った。
「………………」
オレは周りを見渡すのと、携帯をパカパカと開け閉めする手が止まらない。
もしかしたら、電話が入るかも…
なんて考えがぐるぐると頭を駆け巡るっていく。
どうしよう…
乗りたくねぇ…
小夏が来てないのに、乗り込むなんて出来ねーよ。
―…そんな風に立ち尽くしてから何分経ったのか。
「……七世?」
オレを心配した陽大がとうとう降りてきた。
「1本遅らすか?」
気を使ったように、陽大が力なく笑う。
…今、オレはオレの勝手な私情で陽大を巻き込んでる?
そんなの…何か嫌かも。
「…大丈夫…これに乗るから。」
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