君との距離、2歩分。



私は精一杯になりながらも、人ごみの中を脱出した。



……まだ行かないで。


私にも『頑張ってね』ぐらい言わせてよ。



大体、七世はいつもずるい。


私をいつもいつも置いて、自分だけ先を歩く。


そんなところが、年下のくせにムカつくんだって。



……でも、そうじゃなくて。


どっちかが、相手の先を歩くんじゃなくて。


私は七世の横に並んで歩きたい。




「…本当に来た…」


いきなり、焦る私の頭上から笑いを含んだような声が聞こえた。



この声………



「………………」


びっくりした私からは、声も出ない。



名前を呼びたいのに…


もどかしいけど、嬉しい。


だって、目の前の七世も笑ってるから。




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