君との距離、2歩分。



あと少しでドアが閉まってしまうという時……


いつも通りの七世の声が私の耳に聞こえた。


七世の声に顔を上げると―…




「…この前の話の返事。」


「……七世?」



―…目の前の七世は両手でドアが閉まるのを阻止していて。


かなりの力を使っているみたいで細い腕には血管が浮き出ていた。



「…やめた方がいいよ!?怪我するって…」


「いいから。オレの話…聞けって!」



七世を心配してドアから手を離すように言う私。


なのに、七世は少し苦しそうに笑った。



…だって怪我なんかしたら、サッカー出来なくなっちゃうじゃん!



七世がサッカーを好きなのは、よく知ってる。


だから怪我なんかしてほしくないんだよ……



「…小夏さ、年上好きかって聞いたじゃん?」


私のために必死になる七世に涙が出そうになる。



…手、本当は痛いんでしょ?


なのに…何で笑ってるの?




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