ボクの歌姫
「ふぅ…。」
歌い終わった笑斗くんが何かを思い出しながら
可笑しそうに、でもどこか愛おしそうに言った。
「センスねぇ歌だろ?」
「そうかな?私は好きだよ?
ストレートで飾ってないっていうか。」
「幼なじみの先輩が好きな女を想って作った告白ソング。
ちなみに山科さんと同じ感想を言ったやつがもう1人いたよ。」
「告白…成功したの?」
「大成功。今じゃ見てるこっちが恥ずかしいくらいのラブラブっぷり。」
口調とは裏腹に、笑斗くんにとって
どれだけその幼なじみの先輩が
大事な存在かが表情で伝わってくる。
「さてと、次は山科さんの番な?」
「え…」
ほっこりしてる場合じゃなかった!
もう…笑斗くんの真っ直ぐさに負けました。