ボクの歌姫
「大丈夫だよ!
最初はちょっとビックリしたけど、私のこと推薦してくれて嬉しかったから。」
「そっか。」
「それに…前に進むチャンスかなって…」
雨が強さを増してきて、姫歌が呟いた言葉が聞き取れなかった俺は
「ごめん、よく聞こえなかった。もう一回言って?」
と、聞き返した。
「何でもないよ!」
少し切ない笑顔で首を横に振りながら、姫歌が言った。
その笑顔があまりにも儚くて、それ以上聞けなかった。