ぽんぽんぼん
「あのー、梶木君?お見舞いに来ました」
へらっと笑って、一応ここに来る前にコンビニで買ってきたゼリー等が入った袋を掲げる。
のに対して、梶木君は私のいきなりの登場に相当驚いているらしく、
「なっ、何で森山さん!?」
彼の目を見開いて吃ってそう言う貴重な姿を初めて目にした。
「お見舞いです!」
「えっ、あっ、うん。えっ!?誰に聞いたの、僕の家の住所?」
「あっ、それはバカ田……。いや、秘密です」
吃りまくる梶木君が何だか可愛くてニヤついていたら、危うく口が滑る所だった。
バカ田って呼んでるのははるるんだけの筈だから、ギリギリセーフ。
「山田か」
「バレバレ!?」
ギリギリアウトだった感じですか!
山田君、ごめん!
「大体分かるよ」
そう言った後にはぁ…っと盛大な溜め息が吐かれる。
「あの、迷惑?」
梶木君を好きだと気付く前なら絶対に聞いていなかっただろうその言葉。
前なら、勝手に入って思い切り抱きつきに行っていたと思う。
梶木君にどう思われようと。
でも、今は。……梶木君に嫌われたくないんだ。
不安気に首を傾げる私からプイッと顔を逸らして頭をぽりぽりと掻きだす梶木君の口がゆっくり開く。
「こっち入って来たら」
私の方に顔は向いていないけど、その声音は凄く優しくて。
胸がキュンッと締め付けられる。
「う、うん!」
彼の側に寄れば、ほんのりと彼の頬が赤く染まっているのが分かる。
熱、高いんだ。