ぽんぽんぼん
彼の寝ているベッドの横の床に腰を下ろすと、再び手に持っていた袋を掲げる。
「あっ、これ。お見舞い品です!」
「別にそんなのいいのに」
「突然、押し掛けてるからね」
「だね」
熱のせいなのか、いつもの毒舌っぷりが発揮されず、ふにゃっと笑う梶木君。
思わず自分の胸に手を当てて息を呑む。
心臓がドキドキし過ぎて可笑しな事になっておりますが。
熱の梶木君は、凄い破壊力だ。
梶木君はパタンと手に持っていた本を閉じ、ふうっと息を吐くと、
「で、何しに来たの?」
と私へと顔を向けて首を傾げる。
「お見舞いに!」
「で、何しに来たの?」
「いや、お見舞いに」
「で、何しに来たの?」
冷たい目と共に繰り返される質問に背中にツーっと冷や汗が流れる。
梶木君は、私がただお見舞いに来ただけじゃないという事をお見通し…みたいな感じですか……。
お見舞いと言いながらの心の奥の本音を言わないと、きっとこの質問は終わらない。
「お見舞い次いでに、梶木君の匂いを嗅ごうと思って……」
ああ、言ってしまった。
梶木君の視線に堪えきれなかったよ。
「だろうね。毎度ながらウザいね、森山さん」
「酷っ!あっ、でもでも、梶木君が心配だったのも本当ですよ!」
「ふーん。嘘臭いね」
慌ててそれだけじゃないって伝えたのに、全然信じてもらえない。
これは、……日頃の行いのせい?