ぽんぽんぼん
「本当ですってば!」
唇を尖らせて抗議をするも、「あっそ」とどうでもよさそうな返事が返ってくるだけ。
梶木君の顔が見たかったっていうのも本当なのに……。
少しだけ悲しくなって俯くと、手に持っていたお見舞い品が目に映る。
落ち込んでる場合じゃない。
梶木君の冷たい目は今に始まった事じゃない!これからが私の良さをアピールするチャンスなんだ!
そう思って一人意気込むと、梶木君に顔を向けてへらっと笑う。
「あのねー、一応食べやすいようにゼリーとか栄養ドリンクとかプリンとか買ってきてみました。どれか食べる?」
袋から1つずつ取り出して床に並べていく。
熱がある時に食べやすい物。というよりは、私が熱が出た時に食べる物という感じだが。
床に順番に並べられているお見舞い品に目を落とす梶木君は、真剣な顔でどれにしようか選んでいて。
一応、私の選び方は間違ってなかったんだなと思える。
「あー、じゃあイチゴのゼリー」
「了解でーす!」
透明のカップに赤色を輝かせているイチゴのゼリーを手に取ると、はい。と梶木君へと差し出した。
それを、どうも。と微笑みながら受け取る梶木君と指先が触れ合う。
梶木君は私の指先が当たった事なんて気にした様子も無く、イチゴのゼリーの蓋を既に開けているけど。
私は顔が熱すぎて、噴火しそうだ。
バクバクと激しく鳴り響く鼓動の音が頭に響いてくらくらする。