ぽんぽんぼん
「何?」
頭がくらくらしながらぼけっと梶木君を見つめ続けていたせいか、そう言いながら首を傾げられる。
梶木君にドキドキし過ぎて、身体が動かなかった…なんて言えない。
「いや、美味しいかなっと思って…」
苦笑いを漏らしてそう聞く私は梶木君の目にかなり怪しく映ったのだろう。
グッと梶木君の眉間に皺が寄る。
「食べたかったら食べたら。森山さんが買ってきたんだし」
梶木君の解釈ではそうなったんだ!
私が梶木君の食べるのを物欲しそうにしている様に映ったのか!
そりゃ目の前でパクパク食べられたら、こっちも食べたくなるのは当然の心理で。
「えっ、あっ、いいの!?」
そう言いながらも目の前の食べ物をどれにしようかと選んでしまうのは仕方の無い事だと思う。
特に自分が食べたい物を買ってきてるから、余計かも。
「逆に何で駄目なのか分からないけど」
「ありがとう!では、プリンをば」
不思議そうに首を傾げる梶木君に向かって微笑むと、プリンへと手を伸ばした。
そのまま梶木君はゼリーを、私をプリンを食べていると、ふいに梶木君が口を開く。
「来た時、誰か居なかった?」
「えっ、ああ、梶木君のお母さんに会ったよ。焦げ茶色のロングヘアーにパッチリした目の美人さんって梶木君のお母さんだよね?」
よくよく梶木君を見れば、目元や鼻がそっくりだから、多分間違いないと思うけど。