ぽんぽんぼん



「美人かどうかは怪しいけど、焦げ茶色のロングヘアーは母さんだね」



やっぱり梶木君のお母さんだったんだ。



プラスチックの透明スプーンでプリンを掬うと口へと運ぶ。



「あっ!そういえば、梶木君のお母さんが仕事に呼び出されちゃったって言って出て行っちゃったんだよ。その時に、今は家に梶木君一人になるから心配って言われて、スルリとお家に入ってしまった訳です!」



透明スプーンを立てて、私がお邪魔した経緯を伝えれば、梶木君が苦笑いを漏らす。



「へぇ、なるほどね」


「梶木君のおばあちゃんも今留守なんだね」


「うん。…出掛けてる」



お出掛けかぁ。


梶木君のおばあちゃんって事は私のお祖父ちゃんと同じ歳位だよね。



「もしや、梶木君のおばあちゃんもゲートボールですかい!?」


「何でゲートボール?」



怪訝そうな顔をして首を傾げる梶木君。


何でってそりゃあ、


「家のお祖父ちゃんが最近ゲートボールに嵌まってるんだよ」


ゲートボールをやっているお年寄りは多いってお祖父ちゃんも言ってたし。



「凄い元気だね」


「そうなんだよー」



元気過ぎてこっちが付いて行けない位だよ。あのお祖父ちゃんは。


暫くお祖父ちゃんの話をしていると、ふと梶木君の部屋に掛けられている時計が目に入った。



「あっ、もうこんなに時間が経ってる!」



梶木君とゆっくり話せるのが楽しくて、直ぐに帰るつもりが予定よりオーバーしている時間。



本当は30分位で帰るつもりだったに。


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