ぽんぽんぼん
「そう?森山さんが来てから50分って所だけど」
「今日の私は常識人なのです!」
「訳が分からないんだけど。何それ?」
その場から立ち上がり、胸を張る私に不思議そうな顔が向けられる。
「はるるんに教えて貰って来たのです!病人のお見舞いは一時間以内にしないと駄目だって」
今までの私とは一味違うんです!
「ふーん。要らない知識を付けてきた訳だ」
「えっ?」
「別に何でもないよ」
さらっと流されてしまったが、梶木君にとって、はるるんに教えて貰った知識は要らない知識だったのだろうか?
んー、謎だ。
まあ、兎に角だ。帰る前に梶木君の匂いを嗅いでおかないと。
「あのー、梶木君」
「何?」
「帰る前に少しだけ匂いを嗅いでも……」
「絶対に嫌だね」
鋭い視線で私を睨み付ける梶木君は断固拒否の姿勢だ。
「何で!?」
「僕も男って事だよ」
私の問い掛けにプイッと顔を逸らしてそう答えが飛んでくる。
……男って事?
それって、……どういう事?
「ん?意味が分かりませんが?梶木君が男なんて事、知ってますが。次いでに言うと、私は女です!」
梶木君が、女なんて思った事なかったけど。
だって梶木君胸も膨らんでないし、男子トイレに友達と一緒に入って行くし。
まあ、胸が余り膨らんでいないのは、私もだけど。