ぽんぽんぼん
首を傾げてそんな事を考えていると、梶木君の溜め息が聞こえる。
「知ってる。っていうか、森山さんって馬鹿過ぎるよね」
今日は風邪だからかまだ出てなかったけど、やっぱり言われた!
馬鹿って……。
「酷っ!意味の分からない事を最初に言ったのは梶木君なのに!」
ぷうっと頬を膨らませると、頬を少しだけ赤く染め「それは……」と口ごもる彼。
そのまま梶木君の視線は布団へと向けられる。
もしや、これはチャンスなのでは!
梶木君の目は今私に向いていない。という事は、ちょっとばかし強引だけど、匂いを嗅げる!
「隙あり!」
そう言葉を放つと共に、ベッドに上半身を起こしている梶木君の胸へと向かって顔を突っ込んでいく。
「うわっ!」
驚いた声が真上から聞こえてくるが、何のそのだ。
梶木君の胸に顔を埋めてすうっと息を思い切り吸い込む。
ふわふわと甘い香りは今日も健在だ。
「うはぁ。梶木君の匂いだぁ」
思わず頬が緩む。
そんな幸せ一杯の私とは打って変わって、梶木君は不機嫌顔。
「森山さん、僕はちゃんと言ったよね」
「あっ、嫌ってやつですかい?」
言ってたけど、でもでも今日は朝から完全に梶木君不足だったんだよ。
顔を上に向け、そう訴える様に視線を投げ掛けると、ああっと言いながら梶木君か自分の髪を右手でわしゃわしゃと乱す。
「そっちじゃなくて……」
その言葉と共に、私の顎が梶木君の手に捕まれる。
そのまま上を向かされたままの状態で梶木君と絡まる視線。