ぽんぽんぼん
だけど海の口から紡がれた言葉は欲しい言葉とは違うもの。
「さあ。そんな感じなんじゃないかなぁって思っただけ」
「適当!?」
「だって、私女の子だもん」
「仰る通りで」
海に聞いて答えが貰えるとか思った私が馬鹿だった。
第一、何で?なんて質問は本人に聞かないと本当の答えなんて貰えないって分かってるのに……。
ガクッと肩を落とす私を尻目に海はニヤッと意地悪に笑う。
「あっ、でもさ、漫画とかでよくあるけど、好きな人を映して…とかだったら切ないよねー」
ケラケラと笑いながら海は言っているけど、私は笑えない。
「す、好きな人を映して……。それは、嫌だなぁ」
切ないを飛び越えて、その展開は痛過ぎる!
梶木君の好きな人と私が被った。……熱があったから?
何だこのありえそうな展開は!!
そんなの絶対嫌ー!却下、却下、却下!
自分の行き着いた考えを思い切り否定する様にブンブンと頭を横に振ると、目の前に置かれているカレーを口へと次から次へと運んでいく。
そんな私の行動が面白いのかニヤニヤした顔つきで海が口を開く。
「で、お姉ちゃん、誰とキスしたの?」
誰とキス…したの?……とな?
突然の事に頭が真っ白になる。
「な、なななな何言ってんですかい!お姉ちゃんは全然関係無いから!キスの質問とか全然関係無いから!」
慌てて紡ぎ出した言葉に「ふーん」と相槌を打つ海は思い切り不信顔だ。