ぽんぽんぼん



「そうだよ。もう、何言い出すんだい、海ったら」



へらっと笑ってそう言い切れば、再びカレーを口へと入れる。


カレーを食べたいというよりは、カレーを口に突っ込んでここでこの話を切りたいという気持ちで食べているからか、味がさっぱり分からない。



「ま、別にいいけど」



結局、海もそれ以上突っ込んでくる事もなくカレーを食べ始めた。



お陰でこの話はここまでだ。



そう思うとほっと胸を撫で下ろす。


その後、海と二人で黙々とカレーを食べていく。


家は所謂共働き所帯。だから、夕飯は海と私の二人で食べる事が多い訳だ。


といっても、いつもだったらこの時間にはお母さんは帰って来てるんだけど。



今日は残業かな?



そう考えた所で海の声が聞こえてきた。



「そういえばさ、この時期になるとつい夏祭りって思っちゃわない?」



夏祭りか。


確か夏休みに入って少ししたら直ぐに夏祭りがあったっけ。前は…の話だけど。



「あー、だね。2年前から変わったんだよね、秋祭りに」



今でも毎年行っているお祭り。


ぽん菓子を作る機械の大きな音が耳に響くのが好きなんだ。



「来場者数が夏にやるよりも、秋に花火を上げる方が増えるっていう大人の事情だよね」



唇を尖らせて不満そうにそう言う海は夏にやっていた方が良かったのだろう。


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