ぽんぽんぼん
「……あっそ」
顔を逸らされているから表情は見えないけど、ぶっきらぼうな相槌で梶木君がこういう言い方をする時は、大体が好きにしたら良いよっていう意味なんだ。
「じゃあ、じゃあ、明日…、は用事が入ったし明後日に!」
明後日に梶木君と会える!
嬉し過ぎる!
「明後日は山田と遊ぶから無理だね」
「山田君!」
先に梶木君の予定を埋められてるなんて……。
山田君、……狡いよ。
でもでも、明後日が駄目なだけで明明後日がある!
今日まで梶木君無しで頑張ったんだから、一日延びた所で問題無しです!
「じゃあ、明明後日!」
梶木君の顔を伺う様に覗き込むと、梶木君にしては珍しく眉をハの字に下げて、あーと言葉を濁しながら口を開く。
「明明後日は山田と勉強する約束してたから無理」
「また山田君!!」
二日連続山田君。
目を見開いて驚いた後に梶木君から顔を逸らす。
「くっそぉ……。どれだけ梶木君を独り占めするつもりですかい。バカ田君」
そうボソッと呟いてしまったのは仕方ないと思う。
だって、二日も梶木君と会える約束を取り付けてるなんて狡いにも程がある!
私なんて、ここに来てようやく約束を取り付けられるのに!
梶木君から顔が見えない事を良いことに、山田君への苛立ちを込めてギリギリと歯を噛み締める。
と、横から優しい梶木君の声音が耳を届いた。
「その次の日なら大丈夫だけど」
ガバッと勢いよく梶木君の方へと顔を向けると、口に手を当ててクスクスと笑っている。
その笑顔につられる。