ぽんぽんぼん



「ほ、本当に!じゃあ、4日後だ!嬉しい!」



今の私の顔はきっと最高に幸せそうな顔をしてると思う。


頬が緩んだまま元に戻らないもん。



「そんなに嬉しい?」



ニヤッと意地悪に梶木君は笑うけど、その質問は意地悪な質問にはならないよ。



「うん。めちゃくちゃ!」



笑顔でそう答えるのは必然なんだから。



「ふーん」



相槌を打つ梶木君の耳が真っ赤になっているのは、今しがたクーラーの効いていた院内から外へと出たからだろう。


外へと出た途端、ぶわっと熱気が身体に纏わり付いたのは私もだ。


少しでも病院という無機質なイメージを払拭したいからか、木々が植えられているのが視覚的には暑さを少しだけ凌いでくれている様な気がする。



「あっ、時間とかはまたラインするね!」


「はいはい」



私の歩くペースに地味に合わせてくれているんだろう所とか。


苦笑混じりのその返事とかも凄く嬉しい。


今日、ここに来て良かった。


お父さんの退院日が今日で良かった。



そう思って一人ほくそ笑んでいると、梶木君の足が止まる。



「じゃあ、僕はこっちだから」



そう言って指差す方は私が家に帰る方向とは逆の道。


梶木君と私の家が近い訳ではないからそうなっても可笑しくない。


もっと一緒にいたいっていう気持ちはてんこ盛りな訳だけど。


4日後に会う約束を取り付けてるんだから、我が儘も言ってられない。それに、何と言っても我が儘を言って嫌われるのも嫌なんだ。


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