ぽんぽんぼん



昨日の梶木君のお母さんの言葉が頭を過る。



ーーーーー………………


「昨日はね、もう5年前になるんだけど。お義母さんの命日なの。あっ、颯太にしてみれば、おばあちゃんね。

産まれた時からずっと一緒に暮らしてたから、颯太は大のおばあちゃんっ子だったのよ」



昔の事を思い出す様に苦笑してそう言う彼女の言葉に頭が真っ白になったんだ。


5年前に梶木君のおばあちゃんが亡くなってる。


産まれた時からずっと一緒に暮らしていたおばあちゃん。


それと、梶木君のお母さんの前にあるお墓の名前は『梶木家代々之墓』と彫られていて。



じゃあ一体、……梶木君は、


……どのおばあちゃんの為にぽん菓子を買っていたの?


……どのおばあちゃんと一緒に、……今、住んでるの?



駄菓子屋のおばあちゃんが、雪ちゃんは?と梶木君に聞いていたじゃないか。


梶木君の家にお邪魔した時に、和室のちゃぶ台の上にお茶とぽん菓子が置いてあったじゃないか。


そうだ。母方のおばあちゃんと暮らし始めたのかもしれない。



そう必死に思い込もうとするのに、わたしの頭はそう答えを出してはくれない。


何かが、……そう思い込むには何かが引っ掛かるんだ。


梶木君の家は新しくはなくて、昔からという雰囲気だった。あれは、梶木君のお父さんの実家って考えるのが一番しっくりくる。


この辺りはそういう家が多いから。


じゃあ、じゃあだ。


梶木君のお父さんの実家に、母方のおばあちゃんを住まわすだろうか?


父方のおばあちゃんが亡くなったからって、そんな事をするだろうか?


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