ぽんぽんぼん
きっと、梶木君のおばあちゃんも生きていたらこんな手なのだろう。
私、……あの時、声を掛けてくれたおばあちゃんに。
……梶木君のおばあちゃんに私の口からちゃんとお礼を言いたかったんだよ。
貴方のお陰でぽん菓子が大好きになった事を伝えたかったんだよ。
私は、……貴方の孫である梶木君に、何をしてあげられるんだろう。
私、……馬鹿だから、
……分からないよ。
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家に帰ってからは、絶賛自分の部屋に引きこもり中だ。
涙は枯れる事を知らないらしく、止まったと思ったら、また数分で溢れてくるの繰り返し。
ベッドに横になりながら天井を仰ぐ。
目尻から流れる涙は頬を伝って枕を濡らす。
私の頭の中は梶木君と梶木君のおばあちゃんの事で一杯で、他の事が入り込む隙間なんて全く無いと思う。
ピロンッ!
こんな気分の時でも明るく着信音を響かせるのは私の頭の横に置かれているスマホのラインのだ。
左手の甲でグイッと涙を拭うと同時にスマホを手に取ってラインを確認する。
『今、何してるの?』
よくある文。でも梶木君から送られてきたその文にドキッと嫌に心臓が跳ねた。
まさか私が今日駄菓子屋のおばあちゃんから話を聞いたのに気付いた!
一瞬そんな考えが頭を過ったが、直ぐに流石にそんな事は無いか……と胸を撫で下ろす。
駄菓子屋のおばあちゃんは、口が軽いって感じではないから。