ぽんぽんぼん
梶木君の中のおばあちゃんは、凄く大きな存在で今なお生きていると思い込んだままの状態で。
病院で偶然会った時も確かおばあちゃんが入院したからって言っていたっけ。
だから、梶木君はお見舞いに来ていたんだよね。
…………あれ?
梶木君のおばあちゃんは5年前に亡くなってるんだよね。
じゃあ、じゃあ、……梶木君は何で病院なんかにいたの?
おばあちゃんが入院したと思い込んで?
何だろう?……何かしっくりこない。
私は梶木君がおばあちゃんが入院したって言ってたから、そう思い込んでたんだよね。
あれ?…………あれ?
梶木君っておばあちゃんが入院したって、……私に言ったっけ?
頭に右手を添えて目を堅く瞑る。
思い出せ!
ついこないだの事じゃないか!
思い出せっ、私!!
梶木君は……、私に何て言ってた?
必死に記憶を手繰り寄せると、つられる様にやって来る病院での私と梶木君の会話。
……もしかして。
ガバッとベッドから身を起こすと、そのままの勢いで自分の部屋からリビングへと向かう私の足は自然と速足になる。
バンッとリビングのドアを開け放つと同時に私へと向けられるお母さんと海の驚いた顔。
でもそんな事、今はどうでもよくて。
「お母さん!この間お父さんが入院してた病院のパンフレットってある!?」
「えっ、そこの棚に入ってるけど」
私のいつもと違う勢いにたじろいだのか、お母さんは困惑した顔をして食卓テーブルの横に置かれている棚を指差した。