ぽんぽんぼん
「梶木君に会えるのが楽しみでいてもたってもいられずに、1時間前から来てました!」
私のその言葉に目を丸くして驚いている梶木君。
「1時間前!!……あほだね」
『あほ』と来ましたかっ!
「何で!?」
「1時間前に来てても、僕はこの時間にしか来ないから」
ああ、そういう事か。
私が無駄に待っていてあほだという事だね。
まあ、でもそんな事は、
「知ってるん…だけどね」
苦笑いを漏らすと、梶木君の眉尻が下がる。
と、共に吐かれる大きな溜め息。
「ほんと森山さんって馬鹿だよね」
いつもならここで突っ込むのだが、そうもいかない。
自分でも馬鹿だって実感した所だから。
「最近はちょっと自分でもそう思ってます」
シュンと項垂れる私に向けられる疑う様な梶木君の視線が刺さる。
「自棄に素直で気持ち悪い」
「ですよね」
いや、もうほんと梶木君の言う通りなんだよ。これが。
いつもと同じ様に振る舞わなきゃと思ってる癖に、心は頭とは裏腹でハッキリ言ってぐちゃぐちゃな態度だと思う。
いつもみたいに話してみたり。かと思ったらいきなりへこんでみたり。
「何かあったわけ?」
怪訝な表情で私を見ながら首を傾げる梶木君。
今の私は、そう聞かれて当然なのかもしれない。
「ううん。何にもない!いつも通りですよ!」
ニカッと歯を見せて笑いながらそう言うと「ふーん」と疑う目を向けたられたまま言われてしまう。
確実に怪しんでいるんだろう。
バレバレな自分が情けない。