ぽんぽんぼん
「あっ、ここだよ!」
店を指差して梶木君の顔を見れば「うわぁ……」という声と共に彼の眉間に皺が寄る。
パステルカラーで彩られたお店は、凄い存在感を放っていて。
看板にはこれでもかという程の色とりどりのパフェの絵。
「見ているだけでも美味しそうだね!」
「見ているだけでも今すぐ退散したくなるね」
喜んでいる私とは正反対の梶木君は、嫌そうな顔を隠しもせずに私に向ける。
「何で!?甘いもの苦手じゃないよね?」
梶木君はぽん菓子が好きな筈。だったら、甘いものが苦手って事はないと思ってここにしたんだけど違った感じですか?
首を傾げると、梶木君が苦笑いを漏らした。
「苦手じゃないけど、ここまで全面に押し出されたら逆に食べたくなくなるってやつだよね」
「何ですとっ!」
ひねくれ屋さんですかいっ!
目を丸くした私を見て、クツクツと喉を鳴らし意地悪に笑う梶木君は何だか楽しそう。
「でも、森山さんは食べたいんでしょ?ビッグパフェ?」
「う、うん」
そりゃあ、食べたいから誘ったわけで。
ぽん菓子も好きだけど、甘いアイスクリームが乗ったパフェだって大好きなんだ。
それを分かっていたんだろう梶木君がニヤッと片方の口角を上げる。
「仕方ないから付き合ってあげるよ」
なっ……、それ……、反則。
ボンッと頭から湯気が出たんじゃないかっていう位顔が熱い。
心の準備も何も出来ていない時に、こんな言葉を吐くなんて。
梶木君は本当に……、狡くて格好いい。
ますます『好き』が大きくなる。