ぽんぽんぼん
店内に入ると、外観から予想出来る様にパステルカラーで纏められている。
薄黄色の丸いテーブルに桜色の角の丸い椅子という組み合わせは、まさにパフェやマカロン、そういった洋菓子を連想させる。
私にとっては美味しそうなパフェが食べれそうな雰囲気。
梶木君にとっては、チッと舌打ちをしてしまう雰囲気。
隣からの舌打ちに思わず苦笑してしまう。
窓側の角の席に案内されると、椅子に腰を下ろしてメニューへと目を落とす。
私の目的のパフェはこの店の一押しらしく、でかでかと表紙を飾っている。
「梶木君は、何にするの?」
梶木君へと顔を向け首を傾げると、梶木君の視線がメニューから私へと移った。
「僕はアイスコーヒー」
「パフェは!?」
パフェ屋さんに来てコーヒー!
何で!?
目を見開いてテーブルの上に身を乗り出すと、呆れた様に溜め息を吐かれる。
「さっきも言ったけど、食べたくなくなった」
いや、言ってたけど……。
「あれ本気だったんですかい!?」
「本気でしたが」
真っ直ぐ私へ向けられる梶木君の視線が痛い。
冗談かと思ってたよ。
本気で……、食べたくなくなってたんだ。
「ここで良かった?」
そう聞く私の頬はひきつっていると思う。
食べたくない人をパフェ屋さんに連れて来てしまったという何とも言えない罪悪感が押し寄せてくる。