ぽんぽんぼん
「何でそんな事分かるの?そんな確証なんて無いじゃないか!」
梶木君が言う事だって分からない訳じゃない。
確証なんて何も無い。
それでも、皆が忘れてしまうなんてそんな悲しい話、あっていい訳無い!
それに、……私は梶木君のおばあちゃんに教えて貰ったんだ。
「ぽんぽんぼん」
私の発したその言葉。
それに、
「えっ!?」
と声を出した彼の目は鋭い目から一転、驚いているのがありありと分かる程見開かれる。
これは、魔法の言葉。
ゴクッと息を呑むと、口を開いた。
「ぽんっといきなり出会ったとしても。ぽんっとその時間が直ぐに終わってしまったとしても。
その間に一緒に笑い合えたとしたら、何があってもその相手の事は忘れる事は無いんだよ。
例えぼんっと相手が居なくなってしまっても」
「それ……」
「梶木君は、梶木君のおばあちゃんと一緒に笑い合った事があるでしょ?梶木君の家族も、駄菓子屋のおばあちゃんだって梶木君のおばあちゃんと一緒に笑い合っている筈だよ。勿論、私だって」
私だって、梶木君のおばあちゃんと笑い合った事があるから、絶対に梶木君のおばあちゃんの事を忘れたりなんかしない。
「な…んで……?何で、……森山さんが何でその言葉を知ってるんだよ!?」
梶木君の口から切れ切れな言葉で紡ぎ出されていく疑問に、思わず苦笑いが漏れる。