ぽんぽんぼん
ばあちゃんを殺してしまったのは、自分のせいだ。そう思うのが怖かったという思いも強かったんだと思う。
そこからは、記憶がまだ曖昧だ。
ばあちゃんの通夜も葬式も出ていた筈なのに、いまいち覚えていない。
ただ、その時にはもうばあちゃんは生きていると思い込んでいた気がする。
ばあちゃんの葬式も終わって1週間ほど経った時だろうか。
ふと、最近のばあちゃんはぽん菓子を食べないな…って思ったんだ。
ぽん菓子が大好きだったばあちゃんが最近食べていないなんて変な話で。
ばあちゃんが生きていると思い込んでいた僕はばあちゃんがいつも居た和室の部屋に小皿に入れたぽん菓子とお茶を置き始めた。
そうすれば、ばあちゃんがぽん菓子を食べてくれるだろうと考えてだ。
亡くなっているのだから、食べるなんて不可能なのに。
2、3日はぽん菓子は食べられること無く置かれたままだった。当たり前と言えば当たり前の事だ。
でも、そんな奇妙な僕の行動に多分母さんは気付いたんだろう。気付いたけど、きっと何も言えなかったんだと思う。
だから多分僕の為に、ばあちゃんの為に置いていたぽん菓子を食べた様にしておいてくれる様になったんだ。
今ならそれが家族の優しさだったって分かってる。
でもその時の僕にとっては、それが僕のばあちゃんが生きている!という思い込みに拍車を掛けた。
思い込みはどんどん激しくなって、玄関にばあちゃんの靴が置かれていない事や、ばあちゃんの声を全く聞いていない事なんて気にならなくなってしまったんだ。