ぽんぽんぼん
今まで、ばあちゃんが生きていると思い込んでいたから行ってなかった。
いや、違うか。ばあちゃんが生きていた時は行っていたから。
お墓参りをする事で、ばあちゃんが亡くなっている事に気付くかもしれないと心の何処かで思っていて、無意識に避けていたんだと思う。
「…う、……うん。……一緒に…行こう」
そう言いながら無理矢理ニコッと笑う母さんの目からは、大粒の涙がぽろぽろと流れていて。
母さんをここまで追い込んでいたのは、僕なのだと実感させられる。
母さんの涙は止まらなくて、遂にはしゃくりあげて両手で顔を覆ってしまう。
母さん、……今までごめん。
一杯、心配掛けてごめん。
頭に浮かぶのは謝る言葉ばかり。
でも、口から出たのは感謝の言葉。
「母さん、ずっと心配してくれてありがとう」
その瞬間、母さんがその場に膝をつき泣き崩れた。
慌てて母さんに駆け寄ると、泣き声に混ざって「良かった…」という母さんの声が聞こえる。
静かな空間で響くのは母さんの泣き声。
それと、声を押し殺した僕の泣き声。
今日という日は、きっと一生忘れられない日になるんだろう。