ぽんぽんぼん
一瞬言葉に詰まって、
「あっ、…そう」
と声のトーンを落として言うはるるんは、私の気持ちを気にしてくれているのだろう。
「その日から一度も連絡無かったし」
結局、あの日から梶木君とラインすらしていない。
あんな事を言ってしまったのだから、今更『ヤッホー!』なんてお気楽な文をいきなり送る事が出来なかった。
めちゃくちゃ送りたかったけど、私がそんな事して良い筈がない。
梶木君にとって最高に嫌な奴になったんだから。
少し首を捻って「ふーん」とはるるんが相槌を打つ。
いつもは、どうでもよさそうな顔をして相槌を打つのに、今日に限って何かを考えている雰囲気なのが少し気になるけど。
「もう、撃沈っていう感じなのですよ」
そう言いながらベタッと再び机に突っ伏した。
そんな私の様子を見てか、クスクスとはるるんの笑い声が聞こえてくる。
「何ていうかさ。御愁傷様」
「ぐはっ!胸に刺さる!」
ガバッと顔を上げて、わざと大袈裟に声を出し顰めっ面をすると、またクスクスと笑うはるるん。
「まあ、でも、梶木が泉の告白の返事をまだしていないっていう考えもある訳だし、元気出しなよ」
笑った後にふわっと微笑んでそう言ってくれる所が、はるるんらしい。
私の欲しい言葉を分かってくれてる。
私の事を良く分かってくれる、私の大切な友達。
その事が何だか嬉しくて、目の前のはるるんに両手を広げてガバッと抱き着いた。
「はるるん、ありがとう!」
私の頭をぽんぽんと軽く叩いて「はいはい」とたしなめる様は、やっぱりお母さんだ。